閃く剣を鞘におさめろ、夜露で錆びる(「オセロー」)
シェイクスピア4大悲劇のひとつ「オセロー」の紹介・レビューです。
今夏に(というか7月に)劇団円でオセロー公演があるので、それに先駆けて福田恒存訳の「オセロー」を再読したので紹介します。
あらすじは
「ヴェニスの貴族でムーア人のオセロは、デズデモーナを自らの妻とし、これをよく愛している。オセロの旗手イアーゴーは、同輩キャシオーの昇進を憎み、オセロに、デズデモーナがキャシオーと通じていると進言する。真実味を増すために、イアーゴーは、オセロがデズデモーナに送ったハンカチを盗み、キャシオーの部屋に置く。
これを知ったオセロは怒り、イアーゴーにキャシオを殺すように命じ、自らはデズデモーナを殺してしまう。だが、イアーゴーの妻のエミリアは、ハンカチを盗んだのは夫であることを告白し、イアーゴーはエミリアを刺し殺して逃げる。イアーゴーは捕らえられるが、オセロはデズデモーナに口づけをしながら自殺する。」(ウィキペディアより引用)
この作品を読む上において作品名通りオセローが主人公なのか、それともイアーゴーこそが主人公なのか?この視点が重要なように思います。
オセローの意思、というよりはすべてにおいてイアーゴーの策略の通りに話は進みます。
つまり、
「イアーゴーが書いた悲劇の脚本をオセローがなぞっている」
この作品の構図はこのように言えるんではないでしょうか?
そして何より面白いのが、
オセロー=従順 イアーゴー=狡猾
この対比が実に面白い。さっきも言ったとおりなぜこんなにもオセローはイアーゴーのプロットにはまりゆくのか、それはオセローが従順なる故なのか。妻よりも何故輩下のイアーゴーの言葉に従うのか?
そこには愛するが故の疑念、「在るから故の恐怖」というものが存在するように思う。
私たちだってそうだと思う。夫、妻、彼氏、彼女、いなければいないで寂しい。
だが、いたらいたで「在るから故の恐怖」というものが付き物ではないか、オセローでのそれを縮小して捉えれば私たちの言う嫉妬に繋がるのかもしれない。
象徴的なのは
「どうしてもお前は死なねばならぬのだ、死ななければ、次々に男を陥れる」
という台詞、「在るから故の恐怖」に極限なまでに侵された結果として、自分の妻への恐怖を自分の領域だけではなく、一般化してほかの男も陥れるという一般的な恐怖にまで昇華させている。
愛するがゆえに憎い、という最も悲壮なパラドックスを感じるためにも、ぜひこのオセローに触れてみるのはいかがでしょうか??
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☆印象的な台詞☆
「イアーゴー:くだらない男でも女に惚れているときは、正味よりちっとは立派になるという」
(二幕一場)
「オセロー:犯した罪のことを考えろ
デズデモーナ:それはあなたを愛したことだけ。
オセロー:そうだ、そしてそのためにお前は死ぬのだ。」
(五幕二場)
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